論文読みが進まないのは何故か。簡単な話である。ついに大学に行くことすらサボりがちだからである。
とまあそんな感じであんまり進んでないんですけど、とりあえずこれまで読んだやつを軽く紹介しようかと。
なお、以下では自分の解読に自信がないゆえの「~ということだと思う」、「~ということらしい」みたいな語尾はあまり使わないことにします。今回は自信があるわけじゃないんですが毎回書くのもバカらしいので。
それ本当?って思ったら原文読みに行ってください。
論文その1
まずはBarabasiさんのThe origin of bursts and heavy tails in humans dynamicsです。
↑リンク踏んで左のHuman Dynamics選んで一番下の論文です。多分だれでもダウンロードできます。
なので多少は中身書いても大丈夫かな~ということで少し書きます。
概要
人間の行動間隔がべき分布というので説明できるというデータ解析結果とそれに基づく人間行動モデルの提案をしています。
べき分布に従う例として紹介されているのは電子メールの送信間隔です。
送信間隔が非常に短い、すなわち頻度がやけに高い期間もあれば全然メールを送らない期間もあるというのがべき分布に従う部分となります。
これに着目し、従来はただ気まぐれに行動を起こすというようなモデル(後で軽く説明するPoisson過程)を使っていたんですが、そうじゃなくてタスクを優先度によって積み上げて消化していくようなモデルを考えると良いのでは、というのが提案されています。
もうちょっと説明
まず人間の行動についてですが、CPUみたいに完全に周期的でないことは感覚的に分かります。普段を考えるともっとランダム性はあるだろうということも。
そこで人が行動を起こすタイミングのモデルとしてよく使用されるのはPoisson過程というやつです。これの特徴は行動の時系列を見たときにいい具合にランダムっぽいことです。
いい具合にランダムっぽい、というのは論文の図1aとかbを見ると分かりやすいんですが、発生タイミングが等間隔よりちょっと粗密があって、イベントとイベントの間の時間も大体同じくらいになってるということです。
しかし、
この論文では、実際人間の行動間隔はべき分布に従うというデータが示されています。
べき分布というのは y=xa の形で表される分布です。細かくはまあ調べてください。
行動間隔がべき分布に従うというのを感覚的に説明すると、「めっちゃ行動間隔が短い場合が大半だけど、ものすごく行動間隔が長い場合も割とある」というふうになります。
この後半の「ものすごく行動間隔が長い場合もある」というのがPoisson過程に従った場合の分布である指数分布と大きく違うところです。
なにせ指数分布は行動間隔が長い場合はほとんど現れません。確率が低すぎる。
しかしべき分布だと全くないほどではない、というくらいになり、これが観測結果とあっているんですね。
なおこの論文では電子メールの送信頻度についてべき分布を適用しています(図2)。
それで、そういった事実に基づく人間の行動モデルが提案されています。これが非常に単純でいいモデルだと私は感じています。
どういうのかというと、上でも少し書いた通り、人はやってくるタスクに優先順位をつけて並び替えて、それを実行していくというモデルです。
これでモデル化した場合、タスクの優先度を一様分布に従ってランダムに決めたとき、タスクが作業待ち領域にいる時間の分布がべき分布に従うところが確かめられていました。
なかなか応用が利きそうなモデルとは思いません? 私は思います。
疑問
荒く読んだ現状、一つ疑問があって、それは「作業待ち領域にいる時間はべき分布に従うけど、作業待ち領域からタスクを取り出すのは等間隔みたいな前提が置かれてるっぽいし、つまり電子メールの例を説明する場合はやってくるタスクがすべて電子メール送信なわけではなくて、それ以外のタスク(例えばメール読むとか書類仕事とか)もあるという仮定はされている?」ということです。
これ書きながら、本文にちゃんと書いてあったらまずいなってなったのでまた精読の機会を設けたいところです。
ほかの論文
疲れたので列挙だけ。
- Power-law distributed temporal heterogeneity of human activities promotes cooperation on complex networks
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0378437116300498
- Diversity of reproduction time scale promotes cooperation in spatial prisoner's dilemma games
最初に上げた論文の関連です。もっと関連を漁るつもりで今はいます。
では。