もじゃもじゃな人の雑記

当方は高専生でしたが今は腐れ大学生.今後は日記および備忘録として動きます.

論文を読んだ 20/02/06

今回はサーベイ論文(モデル構築によるシミュレーションも含んでるけど)なのでまだ説明しやすそう. なんか解釈間違えてたら教えていただけると漏れなく感謝して訂正します.

読んだのはこれ

Vicario et al., The spreading of misinformation online (2016)


簡単にまとめると内容は以下.

  • 誤った情報のSNS上での拡散は混乱などを招くので厄介
  • Facebook 上でそういった記事が拡散していく様子を調査し,拡散の期間,範囲などを確かめた
  • 拡散ダイナミクスを模倣したシンプルなモデルを構築し,現実の拡散を再現した


フェイクニュースの拡散調査

モデルは置いといて,簡単に誤報拡散の調査結果を説明しようかと.

調査では,特定の記事(内容は陰謀論のやつとか科学ニュース)がシェアされていく様子を追って色々調べていた.

カスケード(連鎖的拡散)の様子

まず,拡散の様子.これは,拡散された期間がどのくらいで,情報が届いた範囲はどれ程か,ということ.

拡散された期間は,大多数の記事が 1~2 時間とかだったらしく,短い.

情報が届く広さ,つまりシェアした人数,は記事の内容によって違っていた. 陰謀論はシェア人数と拡散された期間に正の相関があり(つまり,広く届けるには相応の時間がかかっている),科学ニュースでは相関がなく,陰謀論より速く広い範囲に届くこともあるようだった.


同意見者によるクラスタ形成

ここが最も興味深かったポイントである.

調査では各ユーザーに対し,記事にいいねした割合を使って意見の二極性(同意か反対か)を割り振っていた.

それをふまえて拡散の様子を確認すると,意見の極性が異なる者同士での情報拡散は起こらなかったようだ.

つまり,例えばある記事に同意的なユーザーがそれを友人へシェアしたとして,その記事を見た友人のうち,反対意見のユーザーは決してそれをシェアしなかったということ.その逆も然り.

このことから,著者は同じ意見を持つものによるクラスタ内でのみ記事はシェアされると見出している.



説明はこんなもんで.

この論文を読んだことで,他のSNSでの情報拡散とか,誤報拡散への対処とか,いろいろ興味が出たので調べてみるつもりです.

案外サーベイも楽しそうだと思えたのでなかなか有意義な論文読みでした.これに関する研究のネタを見つけたいなあ.